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「死」というものについて日本人が真正面から対峙せず、避けて通ろうとしてきたことに、私は長い間馴染まないでいた―。幼い頃よりキリスト教から死を学び、13歳で終戦を迎え、実母と夫の両親の最期の日々を自宅で共に過ごし、2017年に夫を見送った著者。生涯をかけ対峙してきた、「死ぬという務めとそれまでを生きる務め」を2年にわたって綴った渾身のエッセイ集。文庫化にあたり、阿川佐和子と内藤啓子による対談を収録。
目次 :第1部 日本人が避けてきた「死」について―2017年2月2日(日本人は高度な学問は学ぶが誰もが確実に体験する死は学校で教わらずに社会に出る。こんなおかしな話はない;人生は思い通りにならない。それでも人間には小さな幸福が与えられている。それだけでいいのだ;私たちは日常性の中でなんということなくある日この世から「劇的でなく」消えるのがいい;晩年はいつでもやってくる。だから金も知識も人間関係も常に「整理」しなければならない。人生は整理の仕方にかかっている;六十歳を迎えたら自分はどのように金を使い何をしたら満足するか事前に少しでも予測すべきだ ほか);第2部 夫を見送って対面した「死」について―2017年2月3日(利己的で不機嫌な老人になるか、明るく楽しい老人になるか。いかに最期の日を送るかは自分で決めることである;常に別れの日を意識して人と会っていることが必要だ。そしてできれば温かい優しい労わりを示し別れたいものだ;肉親を亡くすことはごく平凡な変化である。家族はそれをできるだけ静かに何気なくやり過ごす義務がある;努力と結果は一致しないし将来の幸福とも関係ない。努力は現世で成功するためではなく悔いなく死ぬための準備である;人生は目的に達すればいいというものではない。楽しんだり苦しんだりする道程に意味があるのだ ほか)
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