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大江戸八百八町の夜は更けて、帰路を急ぐ火消し「い組」の頭取不動の喜兵衛と纏持ちの忠信三次、白狐の常吉の一行は、辻斬りにでも斬られたか瀕死の若い浪人風の男を助けた！浪人は“まぼろし姫”という奇怪な言葉をのこして死んだ！その懐から『伊南藤十郎』と記された名札と高貴な姫の絵姿一枚が発見されたが、なんとその顔は黒く消されていた！？不動一家には“い組小町”と呼ばれる美しい二人の娘おきぬとおたまがいたが、おたまの背中には騎竜観音、腕には桜、腿には菊の刺青があった！？そのおたまが、十一代将軍家斉の数多い子供の中の一人、本所菊屋敷に住む菊姫の手によって誘拐された…！？―鬼姫、まぼろし姫と呼ばれる菊姫のおそるべき企みとは何か！？一大伝奇時代巨編。

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