この商品の詳細
- 出版社
- ありな書房
- 出版社シリーズ
- ISBN
- 4756625953
- サイズ
- 単行本
- 発売年月日
- 2025年10月01日
この商品の紹介
ルネサンスからバロックを舞台に、ブルゴーニュ公シャルルの〈婚宴〉、カトリーヌ・ド・メディシスの〈華燭の祝宴〉、フェリーペ四世のブエン・レティーロ宮の〈祝祭空間〉、ダーフィト・テニールス/ウィーンの〈名画の饗宴〉、教皇庁とベルニーニの〈祝祭芸術〉、太陽王ルイ一四世のヴェルサイユの〈祝祭〉、ザクセン選帝侯公子アウグスト二世の〈婚宴〉、これら七つの代表的な宮廷をとりあげ、それぞれが互いに競いあい、また影響を与えあいながら紡いできた「祝祭」という王権演出の系譜をたどるものである。
フランク王国のカール大帝の時代に萌芽を見た宮廷文化は、中世後期の君主たちのもとで著しい発展を遂げ、一五世紀に栄えたヴァロワ朝ブルゴーニュ公の宮廷は、その絢爛たる豪華さにおいて他を圧倒していた。とはいえ、その財力を支えていたのは、毛織物産業によって繁栄したネーデルラント諸都市の富であり、広大かつ多様な所領の領民や臣下たちに対して権威を示し、統治の正統性を維持するためには、壮麗な祝祭の挙行が不可欠であった。一方、同時期のイタリア都市国家の宮廷は、物質的な華美においてはブルゴーニュにおよばなかったものの、古典的教養と市民的美徳を融合させ、芸術を総動員して「壮麗さ」という君主の徳を可視化する独自の祝祭文化を築きあげた。
こうした文化的遺産は、ルネサンスからバロックへと受け継がれ、教皇庁をはじめ、イングランド、スペイン、フランス、ドイツさらには東欧諸国の宮廷においても、壮大な祝祭として結実していくこととなる。華麗なる宮廷文化の系譜をたどる本書の旅路は、その最初の頂点とも称すべき、ブルゴーニュ公国の宮廷から幕を開ける。
祝祭/単行本