この商品の詳細
- 出版社
- 梨の木舎
- 出版社シリーズ
- ISBN
- 4816622076
- サイズ
- 単行本
- 発売年月日
- 2022年12月01日
この商品の紹介
陽炎のように儚い村里。それでも鳴き続ける蟋蟀でいたい。
銀河鉄道(小海線)に妻を偲ぶ著者終の小説集。
つれあいを亡くして三年目(二〇二一年)の夏、ようやく平常な盆が迎えられると思った矢先に、突然の急性肺炎で入院することになった。二十五日間の病院ぐらしのあと自宅に酸素濃縮器を設置。「パルスオキシメーター」(動脈血中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを示す『酸素飽和度』を測定する)に管理される生活になった。
(中略)
「あしたは最上階の五階へ移ります。リハビリ頑張って下さいね」消灯に来た看護師が告げていった。それをいま思い出す。
そうか、明日の夜はもっと、銀河鉄道が近くなるのだ。あしたこそはそこに停車し、乗車ができるのではないか。たぶん邦子も乗っていて、車窓に映る辿りきた道程の夢現を、共に見ることができるのではないか。八〇キロに未たぬ路線に三一もの駅をもつ銀河鉄道は、きつい勾配をゆっくり登坂しながらも、走馬燈のような目まぐるしい展開をみせるだろう。
それを見届けなければならない。そして、妻に会えるのならば、言いそびれてしまった一言を伝えなければならない―――「次の世も一緒に」。
「銀河鉄道の夢」が決まった。
(序より抜粋)
銀河鉄道の夢/単行本
990
円(税込)