この商品の詳細
- 出版社
- ふらんす堂
- 出版社シリーズ
- ISBN
- 4781412313
- サイズ
- 新書
- 発売年月日
- 2019年12月01日
この商品の紹介
◆必読入門書
既刊句集より自選ベスト100句に解説をつけた入門書。
代表句が網羅され、それがどのように生まれたか知ることができる魅力的な一書。
◆収録作品
柊の花にさわればわれも水
家から坂道を下り、尻久保川の橋を渡って、小さな坂を登ると、懇意にしている農家がある。
その農家の庭先、道に面して柊の木がある。ふだんは誰も見向きもしないが、十二月のはじめになると、きまって花をつける。香りのある細かな白い花がいちめんになってつく。
この頃、散歩をしていて柊の花を見るのが楽しみの一つ。いつもその花に声をかけてゆく。
(句集『谷戸抄』平成二十五年)
◆「私の作句法」より
一見、俳句という最短定型詩は、だれにも書けるように見えて、それは多くの俳句に惹かれた人を裏切っているのかも知れない。もっと言えば、俳句をつくる多くの人が、俳句形式によって裏切られているという事実。そのことを知らずに作句することは無残でもある。まず、俳句は言葉で「書く」という自覚をもつべきである。
季語にしてもそうなのだ。もともと季語は、長い歳月を経て蓄積されてきた詩語であるが、その季語を約束として、あれこれ考えずに使っている。いま一度、季語を言葉として捉えなおしてみては、どうだろう。それは詩語としての季語。季語を純粋に一個の言葉として考えなおそうとする、季語の象徴力の充実を指向するものである。そのことが、詩語を自ら自覚して掴みとると言う営為にもつながってゆく。
その先に無季という視野も見えてこよう。
酒井弘司/新書