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大正の末期に異国情緒あふれる松江をドイツ語教師のカルシュが訪れた。夏には霞のようなお堀端の蚊柱に、冬には、足にまとわりつく雪の風情に心を奪われた。春は咲きかけの桜の微笑みに誘われ、秋には目の覚める紅葉に惹かれ、近隣の山々を訪ね歩いては、高校生らとともに季節の変化を心ゆくまで楽しんだ。

目次 ：哲学者フリッツ・カルシュ;日本との出会い―神々の里に見た美と安らぎを追って(山陰との縁;住居と庭;散歩 ほか);写真や絵画から蘇る―九十年前の出雲の地 出雲は運命の糸で結ばれた人生そのものであった(松江の街;松江城から;山頂から ほか);心に残る思い出―辿るえにしの永い途(きずな;日本への招待;終生の因縁 ほか);資料

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