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居留民二二五名死亡。見逃された予兆、責任逃れ、プロパガンダ。日中戦争開始から約三週間後の一九三七年七月二九日。北京からほど近い通州で、日本の傀儡政権である冀東政権麾下の中国人部隊「保安隊」が突如反乱を起こした。「通州事件」と呼ばれるこの反乱により、二二五名もの日本人居留民(うち一一一名が朝鮮人)が命を落とした。しかし、通州事件には、未だ多くの疑問が残されている。「反乱はなぜ起きたのか?」「予兆はなかったのか?」「責任は誰が取ったのか?」「事件はどう報道されたのか?」―本書では、これらの疑問に対し、数々の史料を駆使して検討を加える。事件発生から八〇年が経とうとしている今だからこそ、我々は感情的で不毛な議論を排し、実証的見地からその全貌を捉え直さなければならない。
目次 :はじめに 通州事件とは(通州事件の再評価をめぐる論争;「水掛け論」を終わらせるために ほか);第1章 通州事件前史(通州の成立と発展;首都防衛の要 ほか);第2章 通州事件の経過(盧溝橋事件発生時の通州城内の警備態勢;保安隊誤爆事件 ほか);第3章 通州事件に残る疑問(なぜ保安隊は反乱を起こしたのか;通州事件によって生じた問題はどのようにして解決されたのか ほか)
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