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本書は、漱石夏目金之助が東大講師在任四年の間の約二年八か月、その講筵に列した一学生(後の英文学者・教育者金子健二)の二つの日記における人間漱石の一面と、東大講師金之助の身分等職務についての調査報告である。特に一学生金子が描く漱石の一面は、いわゆる漱石門下生とはひと味違った漱石像を写し出して興味深い。
目次 :1 文科大学講師・夏目金之助―その身分等職務について;2 金子健二の日記と文科大学講師夏目金之助(『人間漱石』の日記と問題の在処;日記検証(1)重松泰雄「大学人漱石」を端緒に;日記検証(2)『文学論』の講義題目と金子健二の漱石観;漱石「学生の手なきを知らずして」怒る―『日記』明治三十七年十二月一日の一条;荒正人『増補改訂・漱石研究年表』に見る漱石の動静(1)―明治三十八年七月十五日の記事を主にして、その他;荒正人『増補改訂・漱石研究年表』に見る漱石の動静(2)―明治三十六年九月から三十八年六月における一部記事の加除訂正;余滴―『日記』・明治三十八年四月以降について);3 金子健二の文科大学(東大)卒業後の日記に見る漱石(『日記』明治四十年一月三日の一条―「賀状を出すのはつまらないから一枚も出さない」ほか;『日記』昭和二十三年一月十日の一条―「漱石先生を余り景慕してゐなかつたやうなり」;『日記』明治三十九年十月三日の一条―「先生の様子は近頃余程変になりしとぞ」ほか、その頃の漱石の動静など)
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