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私たちは、ある絵画作品に出会い、そこに何が描かれているかを「再認」しえたとき、その絵を「わかる」という。しかし、なぜそれほどまでに私たちは絵を「わかろう」とするのだろうか?20世紀に描かれた絵画は、それ以前の絵画が思いもしなかった無数の認識をその背景に持っている。そして、絵とは具象/抽象の如何にかかわらず、作家のアイデンティティ、或いは民族のアイデンティティと深く結びつき、時代を映す鏡となり、私たちの「鏡像」となっているのだ。本書では「具象/抽象」「わかる/わからない」の二元論に終止符を打ち、“旧東独美術”も視野に収めた新しい解釈パラダイムを提案する。
目次 :序章 『モナリザ』も『黒に黒』もわからない?(わからないから嫌い?;新たな謎 ほか);第1章 抽象絵画の成立と展開(平べったい裸婦―マネ『オランピア』;行く川の流れは絶えずして―モネ『陽を浴びる積み藁』 ほか);間奏 “旧東独美術”の見えない壁;第2章 具象絵画の豊饒と屈折(風景の形而上学―ベックリン『死の島』;揺れる自意識―ムンク『叫び』 ほか);終章 「わかる」ということ(「わかる抽象」と「わからない具象」;『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ほか)
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